夫婦な関係

by 葉秤

前にも書いたのですが、秋田県に少しだけ住んでいたことがあります。象潟町というところでした。「きさかたまち」と読みます。かつては、九十九島と呼ばれる小島群が海に浮かぶ、松島と並び称される(松島は笑うが如く象潟は恨むが如し、と芭蕉さんが言ったとか)見事な景勝地だったそうです。ところが1804年の大地震で海底が隆起し、一晩にして陸地になってしまいました。これはこれで大層珍しい。今では田んぼに点々と小島がある、という風景になっています。

ところで、東京の浅草の旧地名にも象潟というのがあるのです。今は浅草三丁目とか浅草五丁目なんていうあまり面白みのない表示になっていますが、町会名で残っています。三社祭の町神輿にはどーんと「浅草象潟」が登場します。象潟なんていう珍しい地名があっちにもこっちにもと思っていたら、ちゃんと縁があったのでした。

浅草のそのあたりに羽後本荘藩の下屋敷があって、その藩の景勝地である「象潟」に因んだ、ということで、まんまだったんですね。ちなみに景勝地の名を町名にするのは珍しいようです。

そんな縁で象潟町と台東区象潟町会は「姉妹地」です。地方自治体の町と自治組織の町会が親戚になるのも珍しいそうです。

で、最初は姉妹都市や姉妹地の情報を、と書こうと思っていたのですが、象潟町は松島町とは「夫婦町」だというのも知りました。「夫婦町」ってのは初めて聞いたのですが、どうやら今のところこの1組だけのようです。じゃあ仲人市はいたのか、なんてつまらないツッコミはおいといて、他にも珍しい親戚関係はあるのかしら?「イトコ郡」とか「親子県」とか…。

そんな風な、離れた地と地の意外な関係をご存じでしたら、教えてくださいな。

2002年1月18日