遊んではいたが注文があると土、日も関係なく配本していた。配本の他に返品、集金業務もあって、一つの書店に3日続けて通ったりもした。半分以上の書店は現金払いだ。午前中の配本には集金がくっつかない。店長がいなかったり、レジに余分なお金がないからだ。といって夕方の5時から7時までもダメ。お客さんが多いのでこちらの相手をしている暇がない。同じ理由で正午から1時までもアウト。といってもこれは一般的なことであって、書店の立地条件や規模によって混む時間が違ったり、支払い場所が違っていたりでややこしくなる。

こっちは配本、返品、集金をいっぺんに済ませたいのだが、書店にしてみればとにかく本だけははやく欲しいわけで、配本だけで回ることが多くなっていった。

当然返品、集金がルーズになっていく。どうしたもんかなあ。

雑誌をつくるのは楽しいが、なにかどこかビジネスにモレがあるなあ。まだ体制ができてないよなあ。

年末に都内の配本を終えて夜中に事務所に帰ってきたら小林が、読者です、という。頑丈そうな男が一人、ソファに座っていた。

酒を飲めるというので飲み屋に誘った。彼はクルマなので私だけしこたま飲み、ニコリに入らないか、と言ったら二つ返事でOKしてくれた。その男が現在パズルジャパンを運営している金元信彦である。激動の1983年であった。