11月25日(土)

 見に行きたい美術館があるという母に付き合い、朝から母の知人と3人で下町へ。妙なメンバーである。

 「何が目玉展示なのよ?」と尋ねると、
 「特に知らない。」と母がのたまう。よくよく話を聞いてみると、美術館に展示された作品はどうでもよくて、めあては美術館そのものであるという。要するに建築を見に行くのが目的なのであった。母は良く考えたら大学時代にそっち方面の勉強をしていたのであった。

 というわけで「朝倉彫塑館」へ。
 洋風なアトリエ部分と和風(数寄屋造っていうんだっけか)な居室部分がマッチしてるんだかしていないんだか分からない、ちょっと、というかかなり奇異な建築である。昭和初期に完成しただけあって、どこかE川R歩風な匂いがする。「フフフフフ、A智君、さらばだ!」とか言いながら丸窓から怪人が飛び去って行きそうな雰囲気である。
 一見の価値はあるので、お暇な折にでもどうぞ。
 みどころは不必要に多く人を惑わす階段と、謎めくほどに深い秘密地下室、繭玉に囲まれたアトリエ、異常発達した植物でいっぱいの屋上庭園などなど。なんかこれだけ聞くと怪しい洋館そのものだな。

 その後、墓参りをしたりお茶を飲んだり思い出の地の訪問などに付き合わされたりし、帰宅。久々に歩いたので、エラク疲れた。もう寝ようか、と思いテレビなど見ていると、ふと今日が「放談会」の日であったことを思いだす。うーんと万が一知らない人のために解説しておくと、ニコリの読者やら作者やら編集者やらが一堂に集っていろいろ遊んだりする集まりが全国各地で開かれているのである。
 ただ酒が飲める可能性を求めて根性で下町に戻り、3次会を行わんとしている編集担当K氏他数名と合流。深夜番組の準レギュラーと噂される迷路作家O.K.(でいいのかしら)氏と数年振りに同席。僥倖である。

 と、ここで編集部から極秘情報を入手。「N」誌編集長A氏はいまだデカビロ・カックロには何にも手をつけていない模様。今までのこの人のパターンからすると、正月休みに作ることになりそうな予感もする。まあがんばってください。とりあえずブックメーカーには「2月に発行できない」の方で賭けておくことにします。

 まあしかし最終チェックを前に足踏みを繰り返す僕には人のことは全然言えないのであった。